2021年8月12日木曜日

CD作りました


五月にアニーズカフェという場所でイベントを企画しておられる森島さんから連絡があった。「コロナのせいで、ろくにライブしても客がこないしイベントもうまくできない状況なので、いろいろなミュージシャンに声をかけてコンピレーションアルバムを作りたい。」という話だった。

それで、いつも一緒に演奏している北村さんと、そのうち一緒にやりたいよねと言っていた佐々木君と、木屋町ホーンズの圭君の4人でぶっつけで録音することになった。

「裏路地」という企画名も森島さんの発案だったと思う。もともとはライブの企画名だった。ともあれ急な録音企画だったが、まあ何とかなるだろうと、ゆるい考えで行った。

 


最初にトランペットの佐々木君と2人で、試し録音をした。「ブルースでも」というと、彼はStraight,No Chaserを速いテンポのFでやり始めた。そのとたん「しまった」と思ったのだがこれは私が悪い。私はどちらかというとミドルテンポのB♭でやる方に慣れてるし急にMailes流で(というかセッションの主流なのだが)速いテンポで来られても気分がノれないのだ。それを自覚して、言う前にあらかじめ気を付けておけばよかった。

だいたい「とりあえずブルースで」とかいうノリで言ってしまってよい演奏になったためしは少ない、よな。

ぐだぐだな演奏をしてしまって冷や汗を内心かきながら、「やっぱり、フリーでやらない?」と言ってみた。

フリーでやってみた。

終わったあと、「こっちのほうがいいじゃん」と佐々木君がつぶやいた。

それから次々とメンツの組み合わせを変えて、フリーで録音してみることになった。

 

森島さんは、「一曲3分で」と言った。森島さん曰く3分以上やるとダレる。意識してなかったがそう言われるとそれはそれで説得力のある意見に思えた。

(もっとも長い尺で多少ダレても、それ以上に価値のある何かを自分の中から引き出してくる、というタイプの即興演奏は確かにあって、だから一概にはそれが悪いとは言えないとも思うけれど。)

ともあれ録音を販売するという目的からしても、著作権を考えればスタンダードをやるよりは即興かオリジナルの方が良いので、どんどん、即興演奏をやることにした。

3分になったら森島さんが合図をくれて、そこで演奏をやめる、というのを繰り返した。

不思議と、まとまったサウンドになったと思う。

ミスも録りなおしも無かった。すべて一つのマイクによる一発録りでOKだった。一か所、バランスが悪いからと、森島さんがマイクの位置を変えるため引きずった音が入ったが、それもそんなに気にならないぐらいだった。

 



しばらくして休憩になった。

ダンサーのメカブさんが来ていて、北村さんと話していた。まったりした空気の中、このままだらだらと時間が過ぎてもな、と思って「せっかくなんで裏路地のテーマ曲作りませんか?」と提案してみた。

すると北村さんが「よし、じゃあこの後の時間全部使って、やってみよう!」と言った。メカブさんが「そんなの出来るの?」と言った。「わからない。」と正直に答えた。

 

「よし、どんな感じにする?」

「こんな感じのノリでCmで…」

「ブギのノリですね。」

伴奏にあわせて何とか北村さんがフレーズを作ろうとしてると、佐々木君が

「こういう伴奏の時は短い音よりも、長い音を、こう…」

といろいろやってるうちに、何かテーマらしきものが出来た。

「よし、これでいこう!、このあとはどうする?」

「うーん、せっかく裏路地なんだから、こう、下っていく感じで…」

「せっかく裏路地だから、なんて言うフレーズ初めて聞いたわ」

なんだかんだで、だんだん曲がまとまっていった。そして、うん、これで大体できたかなというジャストのタイミングで森島さんが、じゃあ録音しましょうと言った。

 

かくして録音ができた。

録音を流してみんなで聞いてみた。いい感じだった。

「最初はちょっとあれだけど」

「だんだんバカになっていきますね。」

「あー雑だなあ(笑)」

「ほら、もう俺たちバカですって(笑)」

 

森島さんの話では、この録音のうちの一曲か、もしかしたら何曲かを彼の作るコンピレーションアルバム「STATE OF EMERGENCY 非常事態宣言」に入れるということだった。

(結果として最初の曲と最後の曲の2曲が採用されてアルバムに収録された。)

しかしそれはそれとして、ほかの録音も聞ける感じだしもったいないので、こちらはこちらとして主にライブ会場などで手売りする用にCDを作ってもよいかと聞いてみて、承諾を得た。

 


 

という次第で

 

CD作りました。


 

裏路地というユニットの「裏路地」というアルバムです。

北村嘉彦(サックス) 池田一平(ピアノ) 佐々木諒(トランペット) 圭(ドラム) 

というメンバーでの録音です。

 定価1600円 

(今のところ各自のライブ会場などで販売のみですが、ご興味ありましたら気軽にお問合せください。)




企画のきっかけを作るところから録音作業まで、森島ヨウさんには本当に感謝してます。

なお、コンピレーションアルバム「STATE OF EMERGENCY 非常事態宣言」はホホホ座にて販売しているそうです。