なんでまたそんな古典を、という 理由も大したことなくて、ただ
「As Time Goes By 時々演奏してるのに元ネタ知らないよなあ、一応観とこう。」
と思っただけなのだ。
(実際のところ、曲自体は映画で有名になったものの、実はもっと前から作られていたものであるらしいので、この映画のための曲!、というのではないかもしれないが。)
で、観てみたのだけど。なんというか、やはり古典になるだけのものはあるのかもなあ、と思いました。
軽妙で味わい深いセリフのやりとり、気の利いた小ネタと洒脱な音楽がちりばめられて、キャラクターも面白かったり、シブかっこよかったり。うん、よくできている。
もちろん、経年劣化している部分もあるし、政治的スタンスに関しては異論のある人もいるだろうし、若干イージーな部分もあるといえばあるのだけど。
それで、何が印象に残るかというと、やはりイングリット・バーグマン演じるイルザ・ラントの心が揺れまくってるところではないかと思う。ありていにいえばメロドラマ部分。
(以下、内容に触れます。ご注意を)
この女性、フランスで政治活動のリーダーと結婚していたのだが、夫が投獄され、やがて死んだと聞いて悲しみあてどなくすごしてるうちに、主人公と知り合い恋に落ちる。
だが主人公と一緒にフランスから出ていこうというときになって、突然夫が生きていたことを知らされ、主人公を何も言わず振って夫のもとに帰る。
数年後、夫とともにカサブランカに亡命してきた彼女は主人公と再会し、苦境を訴えるが相手にしてもらえない。そんなこんなしてるうちに過去を思い出したのか、また彼女は主人公と一緒にいたいと言い出す。「どうしたらいいか、わからない。あなたが全部決めて。」
こういう風に書いてしまうと、あられもなく「いいかげんな女」なんだけど、そのいいかげんさが、妙にリアルで心を打つというか、そういうときに、そう言っちゃったりするのも人間だよなあ、と思い、なんとなく暗い穴をのぞき込んでしまったような気分になった。
それはつまり、自分というのは、自分が思ってるほど自分じゃないのかもしれない、という怖さというか。
たぶんそこのところが、この作品が今まで残っている理由のミソじゃないかな、と思うのだけど、どうだろう。
*レンタルしたけど、後で調べたら、すでにパブリックドメインになってるらしい。なんと。
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