2022年11月21日月曜日

熊本ツアー記3

 11月13日(日)

曇り。ぐずついた天気。

この日も早朝からごはんを食べる。馬肉カレーは、ちょっと迷ったがこの日はやめておく。昨日食べたのがまずかったわけではないが、ちょっと重いのがしんどく感じられたのだ。つまり私はそういう年頃なのだということなのだろう。

昨日飲みに行ったせいか辻野さんが食堂に降りてきていない。辻野さん抜きのメンバーで朝食を食べながら、ののこちゃんは稲垣さんと二人で昨日食べ損ねたさつまいもソフトを食べに行くと言う。元気だ。

部屋に戻って、トイレに行ってズボンを脱ごうとすると、ベルトが壊れているのに気が付く。古いベルトがプラスチック部分の劣化で部品が落ちて、止まらなくなってしまった。あわてて、近所のコンビニに行ってみて売ってないかと見てみるが売ってない。まだ洋服店の開く時間じゃないし、この日は10時にはホテルをチェックアウトしなくてはいけない。あせる。あせるがどうしようもない。道端でたちつくす。

結局購入は諦めて、ベルトをしばってズボンを固定してしのぐことにする。少々不安定だが、なんとかなりそう。

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チェクアウトをしてロビーに座っていると、ちょうど降りてきたゆうみさんに、くまモンとの写真を自分の携帯で撮ってくれと無邪気なことを頼まれる。そういう感じのことを言う人だっけかと思いながら、くまモンに寄り添う広田ゆうみの写真を撮る。

写真を撮ったところで、いつの間にかロビーの端のマッサージ機にかかっていた辻野さんが「あ゛ぁ、ええわー」と気持ちよさそうな声をあげる。ゆうみさんがびっくりしてびくりと震える。


やがて皆降りてきて、早川倉庫へ移動。辻野さんは「時間があるから行きたかった個性的な書店に行ってみる」と言うが、わざわざホテルの方に戻るのがなんだが億劫に思えて、付き合って書店に行くことはせずに、会場の隅っこに座って休む。歩ける距離なのだが、戻ると思うとしんどく思えるのはなぜだろう。客席の後ろの椅子置きスペースが暗がりになっていて落ち着くのでそこに座ってぼんやりする。


 

桟敷さんが近所の廃ビルらしきところと見に行ったらと勧めてくれたのでぶらぶらとひとりで散歩。ふらふら見て回り、廃れている風情を味わう。わざわざ遠方まで廃ビルめぐりに行くとかの趣味はないのだが、廃れている風情はなんとなく好きだ。(しかしこの後の夜に大牟田の繁華街のすごい廃れっぷりを見たので印象は薄くなってしまった。)缶コーヒー買って戻る。ついでに帰りに使う市電の駅をチェックしておく。



 

うのすけさんが、男前な口調で「今日は昼からカレー食べられるよっ!」と言ってくれたので、早めにカレーを食べる。うのすけさんのカレーはやはりいろいろな味がして旨い。マルシェエリアで食べていると、横でMC兼出演アーティストの門松さんがノートパソコンに向かい「よし…」とかつぶやきながら何やらしきりとチェックしている。真面目で勤勉な人だなと思う。

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本番前、薄暗いソデで、ののこちゃんがカーテンコール時の挨拶の段取りの順を考えてくれている。言われてみると先日終演時、池田がピアノに座ったままになってしまって、お辞儀できなかったのがちょっと変だったか。細かいけどそういうのも大事だなと思う。



 

2時から本番。

 時間ちょっと押しで始まる。序盤で辻野さんが紙を落っことしそうになって、ひゅっ、と戻すのを見て、その姿が妙にかっこよく感じられ、これイケるんじゃないかと思う。慣れもあったのかいい具合に入り込みやすい回だったと思う。

演奏している時間のことを書くのは難しい。いつも夢の中にゐるような感覚で、気が付いたら終わっている。その都度、あれがこう来たから、こうやってとか考えてるのだがそのひとつひとつの行動が大きな波にさらわれる中およぐ手の動きのような感じで、流されてあっぷあっぷして別の何かにくるまれてる感じで、そのうちいつの間にかどこかにたどり着いている。うまくいっている時は海の中も外も景色が見える。

出番が終わるとそろっと音がしないよう気をつけながら客席後ろの暗い階段から楽屋に上がり、写真撮影。(実は皆は本番前に写真を撮っていたのだが、池田不在だったため、判戸さんが気を利かせて終演後メイク落とす前にもう一度撮ったらと誘ってくれたのだ。)下ではまだイベントが続いてるため、音のしないよう気をつけながら写真を撮る。雰囲気のある場所のおかげて面白い写真が撮れる。






終演後、うのすけさんでベアーズとかいうクラフトジンを購入、ちびちび呑む。やや荒い味わいがうまいと思う。


せっかくなのでマルシェで、いぐさコースターもいくつか購入。全体にかたづけにはいる会場を、ちょっと名残惜しく眺める。


 

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客出しが終わり、ちょこっとバラシを手伝ってから自分も会場を去る。

熊本駅まで市電に乗る。観光気分で乗ってみたが、乗ってみた気分はほぼ通勤バスだった。


 

熊本駅に着き、ちょっと呑んで行こうかとも思ったが、次のチェックインの時間もあり結局そのままJRに乗り、大牟田に向かう。

結局今回馬刺し食わなかったな、と思う。








2022年11月18日金曜日

熊本ツアー記2

 11月12日(土)

うまく寝つけず。神経が興奮してるのか、夜中何度か目を覚ましてしまう。



6時半むにゃむにゃ起きる。オートロックなので鍵を忘れないようにポケットに入れて自室から出て、エレベーターで1階に降りる。

「バイキングの朝食は早い方がおいしいんですよ。作ってそのまま置いとくから時間が経つとカピカピになったりしちゃうんです。」

と昨日うがつメンバーの誰かが言ってたのを汲み、うがつの皆は朝イチで朝食を食べることになったのだ。中途半端に起きたようなそうでもないような意識のままバイキングの列に並び、食べるものを選ぶ。かなり豊富なメニューがあって目移りする。

とりあえずさっぱりしたものを主に選ぶ。辛子蓮根の揚げたのがあるのが熊本ポイント。どれもそこそこおいしい。ののこちゃんは、朝にカレーを食べるのが好き、しかもお茶碗で食べるのが好きだと言ってカレーを食べている。そう言われると美味しそうに見えて、おかわりでごはんをよそい、これも熊本名物なのか置いてあった大鍋の馬肉カレーをかけて食べてみる。稲垣さんもつられてカレーをおかわりで食べていた。みんな元気だ。

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食後、皆で散歩する。まず「あんたがたどこさ」由来のせんば橋へ行くことにする。

朝の空気が気持ちいい。



 あんたがたどこさ ひごさ ひごどこさ くまもとさ

  くまもとどこさ せんばさ…

子供のころにたくさん聞いたはずなのに、言われるまでこの唄が熊本の唄だとぜんぜん気づいていなかった。今回のうがつダンスにはこの唄を組み込んだので、ここには一度来ておきたかった。

しかしそれにしても、たぬきの像がちょっと変だ。


あと、たぬきと合わせてエビの像があるのも謎だった。たぬきは出てくるけど、エビ?、二番とかあったっけ…?

洗馬橋でたぬきをめでた後は、昨日の堀沿いのコースを通って城方面へ向かう。熊本城の入り口でどうしようかと話してると、観光ガイドらしき案内のおじさんが寄ってくる。「散歩に来てるなら、そこちょっと上がって、神社見て行ったらいい。」と言って親切に案内してくれる。言われるままにおじさんについて行く。



行ってみるとまず土産屋エリアがあって、そこから登ってゆくらしいのだが、女子連が土産屋にがっつりはまって動かない。(後で聞くと、皆はお土産ハチミツ屋で、つぎつぎと試食のハチミツをわんこそばのように勧められていたのだとか。)仕方ないのでベンチに座ってしゃちほこなどを眺める。ちょっと移動の疲れが残ってるのかなと感じる。

皆が戻ってくる。「池田さん、デパートの買い物に付き合って来ているお父さんみたい。」と言われる。


ともあれ、しばしして皆土産屋からでて、上へ向かう。道すがら、まだ震災から治ってない部分が金網で覆われてたりするのを見る。


上に登ると、けっこう大きな広場のようなエリアがある。せっかくなので熊本城を横に見ながら皆でストレッチをする。背中を伸ばすと気持ちいい。なんだか疲れが取れたような気持ちになる。さっきは座ってるだけで疲れたような気持ちになっていたのに変な感じだ。



そんなこんなでまったり散歩を終えて、ホテルに戻る。

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12時入りで早川倉庫。

振り付けの判戸千雅子さんと合流。リハの録画を見ての手直しなど。段取っぽくなってたところのピアノを一呼吸早く入ることにすることによってスムーズにしたらというようなことを言われる。なるほどと思う。皆で少々練習する。

14時から昼の部本番。



自分達の出番が終わったあと客席後ろに回って、他の出演者たちの演目を見る。今回熊本公演で初めて見る熊本のシンガーCobyさんと日置あつしさんの舞踊の組み合わせが斬新だ。こんな組み合わせもありなんだな、と素直に感心する。

昼の部終演後休憩。マルシェでうのすけカレーをいただく。青唐漬けや蓮根きんぴらやナムルやいろいろおつまみっぽいものの乗ったカレー。いろいろな味がして美味しい。



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18時から夜の部本番。

いつもソロライブの時に来てくれている京都の瓦屋さんのご夫婦がわざわざ来てくれたのがありがたい。それに演劇の後輩筋にあたる陣内君もわざわざ福岡から来てくれた。ありがたい。

夜の部終演後、皆でマルシェで呑む。場所を迷っていると田中遊に席を譲られた。気を遣ってもらってるのか。

うのすけで熊本の酒の飲み比べセットを購入して飲むが、じきにどっちがどっちだか分からなくなる。同じような味に感じる。あきらめて混ぜて呑む。





各々出演者たちが交流している。なんだかここにきてはじめて企画としてみんなの気持ちがまとまったような感じがする。



うのすけさんがつまみをいろいろ出してくれる。雪ちゃんの奢りだそうだ。ありがたい。わさび葉のナムル、鶏の煮込み、ひじきの白和えなどをいただく。

ひとしきり皆で呑んで、散会。

スタッフ組の皆はこれからまだ呑むような話をしている。誘われるのかな、と思いつつ、でも疲れてるし微妙だななどと考えながらホテルに戻る。部屋に入ってみると浴場に行く気力なし。シャワー浴びてそのまますこんと眠る。




2022年11月17日木曜日

熊本ツアー記1

 備忘のためにも、熊本ツアーの時のことを日記的に書いておこうと思う。

忘れちゃいけないわけでもないとは思うが、まあ、久々に書いてみよう。


11月11日(金)

朝早く目覚める。残っていた厚揚げを刻んで、冷凍うどんと煮込んで朝食。すこし冷蔵庫の中のものが残ったがもうしょうがない。やかんの中の水を残さないようにする。前に旅から帰った時うっかり数日前のやかんの中の水をつかってえらいことになった。失敗は繰り返すまい。

伊丹まで阪急とモノレールで移動。モノレール久しぶりで楽しい。空港からANAのプロペラ機に搭乗。



プロペラ機はなんだか生々しく飛ぶのが体でわかる感じ。飛行機の中の席が近いので、はしゃぐ主催の雪ちゃん、本を読む俳優田中遊、弁当を食べる舞台監督の渡川さん等を横目で見る。

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飛行機の窓から見る熊本はなんだか家々の屋根がみんな黒いなあ、など思っているうちに熊本空港到着。飛行場から、うがつ組(池田・辻野・稲垣・ののこ)はバス移動することにする。桜町バスターミナルまで50分880円也。ホテルまで歩く。市電がかわいい。



ホテルで各自小休止した後、昼飯でもと外に出たところで、古事記朗読組(田中遊・広田ゆうみ)とばったり出会う。いっしょに食事に行くことになる。近所の蕎麦屋に入る。朝にうどんを食ったので麺類続けるのもなと思い池田は親子丼を注文。しかし皆がそばが旨いというのを聞いてやはりそばにすればよかったかとちょっと後悔する。

食後なんとなくそのまま皆で城方面へぶらぶら歩く。



堀沿いの道の景色が良い。鯉を眺めたり子猫に出会ったりしながら散策する。そのままのんびりしたいが、しかしリハの時間も考えて、うがつ組は城前で引き返すことにする。ぶらぶら不規則に歩いてきたので帰りちょっと迷う。熊本は線路も川もぐにゃぐにゃ曲がってるので方角の目印にしにくいところがあると思う。

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小屋入り。早川倉庫へ行く。いい天気になってよかった。

早川倉庫は面白い雰囲気の場所だ。無骨な外観のなかにごっそりアンティークが詰まっている。


渡川さんたちは先に来てどんどん仕込みを進めている。しかし、なれない場所のせいで、「あれ、このスイッチはどこだろう?」とかいろいろ迷って予定時間を押しているようだ。



ピアノ設置して、立ち位置などを確認して、リハ。リハはipadで撮影して送り、まだ京都にいる振り付け担当の判戸さんに見てもらうことにする。考えてみればこういうことができる便利な時代だな。



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リハが終わり夕方、移動の疲れはあるものの、少しでも集客の助けになればとの思惑もあり、うがつ組の皆で舞踏関係に縁がある人が経営しているという中華料理「紅蘭亭」へと行ってみることにする。くまもんの着ぐるみや変な焼き芋屋などを見ながら夜の繁華街を歩いて巡る。




紅蘭亭、行ってみると予想外に綺麗で高級な外観に戸惑う。しかし値札をみると値段はそんなに高級というほどでもなくとにかく若干びびりながらも入ることにする。

メニューをながめ、太平燕、水餃子、鶏とピーナツの炒め物、前菜3種盛りを注文しシェアをすることにする。各自飲み物のオーダーが終わったところで給仕の男性に聞いてみる。

「あのう、葉山社長に会うことは出来ますか?」

「葉山?、どの葉山でしょう、三人おりますが?」

予想外の返答に混乱する。

「あの、イベントとかに関わっておられる…」

「ああ、でしたらー」

親切に対応してくれた。残念ながら不在で会うことは出来なかったが、親切な対応に頭が下がる思いになる。




食事はどれもおいしい。炒め物に入っているマコモダケにテンションが上がったりする。太平燕は春雨を使ったちゃんぽんみたいな感じかなと思っていたが、スープは塩ラーメンに近いように感じる。旨い。おおいに盛り上がる。

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ホテルに戻り、浴場に行ってみる。ホームページには大浴場と書いてあったような気がするが、べつに大浴場ではないと思った。まあ比較の問題かもしれないが。よくカプセルホテルなどについている大浴場などと比べると広さは半分以下だと思った。サウナもあったが水風呂はなかった。なんだか中途半端な印象を受けた。けれども体を伸ばせて暖まれるのはありがたかった。

風呂から上がって、ロビーで桟敷さんにであう。桟敷さんは「このホテルでは女性は大浴場に入れない、なんて前時代的なんだ」と文句を言っている。たしかにそうだが、羨むほどたいした浴場ではなかったと正直な感想を言う。お互い追加の毛布をロビー前でせしめて、部屋に戻り、眠る。